DARK NIGHT of the SCARECROW

hellbeyond2013-01-11

お世話になった某監督が試写で観て感心していた『ラスト・エクソシズム』を観る。
現状世界のホラー界で、バイオレンス映画でハンドガンを傾けて構える位やってはいけないと見なされているPOVによるオカルト。
只、撮影者の意識があくまで「霊魂不在」で統一されているため、こちらとしても、彼らの常識が揺らぐ面白みを期待して観ることができる。そういう点で、POVという現実らしさを売りにするこの作品の作りと相性が良い設定と言える。
これで頭の良い作り手なのかと期待したのがまずかった。
何度かの小さなどんでんを踏まえ、南部アメリカの淀んだ空気に相応しい人間嫌悪ホラー的ラストを期待させた展開から一転、巻末10分で呆気なく具体的悪魔と安いCGがポロポロと展開。あまつさえ、登場人物が中盤で示唆された通りの末路を迎えて終わりとは…。
そして私はエンドロールを観て深く頷いた。制作にイーライ・ロスの名前を見つけたのだ。
彼の参加作品(出演も含め)はほぼその全てがラスト、落ちてないのである。本来のホラーとは、いかに中盤までがかったるかろうと、最後で映画的テンション、倫理破壊度を上げ、それが上がり切ったところでちゃんと見栄を切って終わらなければ駄目なのだ。
ブレアウィッチが好きなのか何だか知らないが、主観カメラが走り回った末にブツっときれて終わりなんてのは、ホラーの終わりとしては最低である。
この辺からも、この監督の実はジャンル好きなふりをしてるだけの不真面目さがわかろうというものである。ちなみにこの病はロバート・ロドリゲスあたりが第一保菌者で、他の感染者にはアレクサンドル・アジャがいる。