『ミラクル・マイル』!

hellbeyond2005-01-15

新年早々何だが、今年ベストの映画を発表。タイトルは『ミラクル・マイル』(’88)。


核ミサイル発射を偶然掛かってきた間違い電話で知った青年。彼は夜の街に飛び出し、恋人の家へ向かう。反撃のミサイルがロサンゼルスに届くまで、リミットはたった一時間…。
この映画の主人公は街に普通にいる人たちで、官僚とか政府の人間は一人も出て来ないし、そういった人々は主人公たちの生き死にに終始関係して来ない。
これに比べたら同様に唐突なカタストロフを描いた映画でも『ドーン・オブ・ザ・デッド』(‘04)など思いつきの産物でしかない(あの映像は大きな魅力だけどね)。しかもこちらは84分だ。こんな映画が’88年に作られてたなら‘90年代の『ディープインパクト』とか『ID4』なんて存在する意味全く無し(あ、もともと無い?)!
究極に悪夢的であり(この映画と似たような感覚の悪夢を見たことがある人って結構多いんではないだろうか)、今まで誰もなし得なかったリアリティで描かれた「死を宣告された人々」の物語であり、恐ろしく緻密に計算された恋愛映画でもあり…一瞬ラブコメディかと勘違いしそうになるオープニングからあの冷徹な諦観で満たされたエンディングを誰が想像するだろうか。監督のスティーブ・デ・ジャナットは相当の切れ者だ。
太古に絶滅したマンモスの聳える池、失墜寸前の希望を象徴するヘリコプター(『ゾンビ』!)、そのヘリポートがある高層ビルディング、主人公たちが追い詰められる時計店…この映画では重要なシーンに必ず時計が登場する…など、画面内を埋め尽くさんとするこの映画独自の意味合いを持ったアイテムたちが鑑賞中ずっと観客を引き付けて止まない!


製作は偶然にも‘80年代最も重要な映画の一本、『ターミネーター』を作ったヘムデール社ですが、これも新たにそのうちの一本に加えてよし!
あーもう誰かに見せたい!