『キリング・ゾーン』

hellbeyond2005-04-07

凄まじい映画を観た…。これは「彼ら」が自らを顧みるための反省用資料映像として、恒久的に保存しておくべきだ。
ヤフオク用にレビューを書いたのでそれをそのまま載せます。


『キリング・ソーン ENEMY UNSEEN』
行方不明になった娘を探すため、金持ちオヤジがコマンドを集めてアフリカの秘境へと分け入っていくが、そこは大量の人喰いワニとワニを信仰する部族の待ち受ける恐怖の土地だった…。と書くと良くあるB級戦争ホラーのようですが、これがアメリカ的差別/良心ぶった気持ち悪さ/自分の行動に全く疑問を差し挟まない傲慢さがたっぷり詰まった爆笑/うんざり作になっています。『ボウリング・フォー・コロンバイン』級に反アメリカ映画として作用しそうな一作です。作り手たちの意思は寧ろそれとは逆ベクトルにあったと思われますが…。まず勝手に他人の土地に侵入して行方不明になった娘を探すためにコマンド部隊を雇うというのが理解不可能。しかも彼らは部族と見るや気持ち良さそうにマシンガンを乱射。殺しては隠れ/殺しては隠れの繰り返し。しかも隠れている彼らのすぐ側を気付かずに通り過ぎていく部族の人たちの描写が何回も出てきます(もちろんその後背後から問答無用に射殺)。成程、原題『ENEMY UNSEEN』というのは原住民から見たアメリカ人のことだったのか、と妙に納得(嘘です)。終いには捕えられた仲間を助け出すために村に放火(ふざけるな!)。しかもあろうことか家の中で震えていた部族の幼女を助け出すフリをして誘拐!コマンドは「家を焼いてすまない」とか口走りつつ軽ーく触ったり抱き上げたり、いたずらします(本当にそうとしか見えません)。ラストは頑張って追ってきた部族のオジサン(もしかしたら父親だったのかも知れません)を鬚のコマンドが頸り、ぐったりした所をそっけなく筏からすっと川に流し(金持ちの娘無反応)、当然ワニに喰われます(娘絶叫)。ラストは死ぬほど釈然としない顔の部族の娘を膝に乗っけたコマンドと金持ち娘がボートで川を下っていって終わりです。アクション、残酷、すべてヘナチョコ。爆笑シーン多数です。部族の村は実在のものを借りているようで、リアリティ十分。かれらのワニ祭りも再現しており、紀行もの的見せ場も。そういった要素も作品を貫くどす黒さの緩和にはなっていませんが…。’89年アメリカ。


いやあ、正直、ここまでヤバいのは久しくなかったですよ。