まがいものだっていいじゃん

hellbeyond2007-02-11

 引き続き臥せりつつ映画鑑賞。
 体調のほうは良くなりつつある感じ。昨日ほどの倦怠感と関節痛はなく、動いた際の頭痛も昨日と比べれば『エイリアン2』と『デッドリー・スポーン』の危機感くらいの差がある。
 まあ、厠に行く頻度は未だ高いが…。


 ハリー・アラン・タワーズ&アヴィ・ラーナーが'80年代末期に連作したポー原作モノの一作『赤死病の仮面』('89)を観ている。『早すぎた埋葬』にしろ『アッシャー家の崩壊』にしろ、この人たちの作品は若い女性を主人公にした軽いスタンスと(あ!でも今気付いたけど原典もそれは同じか)見せ場で繋ぐ'80年代的センスがとっても割り切っていて素敵。(注:アヴィ・ラーナーはその後『オクトパス』シリーズなど本気で駄目な作品も制作)
 この人たちは多分自分たちが作っているものが観客にとって「作り物」である、という前提を受け入れ、その上でセットとロケを最低限違和感なく繋げる努力(適度に実景を挟むなど…)をし、色彩や台詞にテーマを判りやすく忍び込ませるなど、やんなきゃいけないことには厳しく取り組んでいる。っても勿論難解な記号学を持ち込んで下世話な観客を怒らせる(ちっとも怖くないニコラス・ローグ版の『赤死病の仮面』がやらかしたような)失敗はしない。っていうか出来る頭がない。職人だなあ。
 サム・ライミみたいに本当にホラーが好きでもないかぎり、面白いB級ホラーを作るにはこの人に学ぶような作り方が最も近いと思われるがどうか?

 あと、ジャッジ・ラインホールドが魔女にいかれるファニーなホラー『ブラック・マジック』('91)は傑作!この人が主演の映画を初めて面白いと思った。そういやこれもパラマウントの未公開作品だなあ。