ウォーターワールド

hellbeyond2007-02-10

 ぐはっ。 
 今、自分の体内の微生物含有率が過去三年で一番多い。と思う。


 休みになったことに喜び、睡眠取りまくりで不規則な生活に甘んじていた結果が、凄まじい関節痛と下痢である。こんなに体が言う事を利かないのは、『同じ月を見ている』の最中にかかった風邪の時、若しくは東映アニメで最初に受け持った作品『劇場版キン肉マンⅡ世』の後にかかった今回の症状を二倍くらい重くした全身激痛睡眠障害くらいである。
 取り合えず昨日は鳥飯を制作、そいつを食って生き永らえようと思ったが、今朝になってもうそれすら口にするのが怖くなってしまった。…だから朝食はお茶漬けで済ませました。


 子供の時分から私は体が若干弱く、「自分は不良品である」というコンプレックスを抱えていた。それを周囲に気付かれないように息を潜め、学校で苛められればその他のコミュニティ(ピアノの稽古やボーイスカウト…ちなみに自分はボーイスカウト大嫌いである。軍隊予備軍だから)ではそれを悟られないように無理に明るく振舞った。
 朝ヤクルトだけ飲んで登校したら授業中にキモチ悪くなり、突然水ゲロを机に吐きかけたり、何故かテストを提出せず(今になって本当に「何故?」って自分でも思う)、成績表に「テストを提出しないことがあり、心配です」と書かれたり、親に返却を頼まれたレンタルビデオを返し忘れ、何時までも秘匿していたり…いまもし自分の子供がそんな奇異な行動を取り始めたら、本気で悩んで困惑するだろう。そういう意味で両親には感謝だ。
 この「不良品」感、そして不必要に自らピンチに陥る傾向と精神的なバランスをとる為、ホラー映画を観ていた部分が自分にはある。
 恐ろしい状況に陥った人々を見て、「ああ、自分はまだ大丈夫だ」「この人に比べればマシだ」と思うのである。
 本当に卑屈な子供だなあと思う。
 私は今現在一応映画製作者であるが、映画を好きになった理由としてネガティブな部分に端を発しているからこそ、根幹のところで自分には「作る理由」がないのではないか、と時々思う。「観る理由」はあったとしても。
 その状況が変えられるのか、それを試すために今、書いている脚本がある。
 あ、エンターテイメントとしての売りもきちんと入っているからご心配なく。その辺り商業映画の現場で吸収したモノに、有用なものもあったのだと判って少し嬉しい。


 さて、また少し休む。


 …といってずっと寝ているのが苦手な性分であり、ここの所映画鑑賞の姿勢を忘れかけていたため、端的に自分が好むタイプの作品(というか、自分が好きなジャンルを堀っくり返していると、必然的に当たる確立の多い種の作品)二つを鑑賞。
 有名になる前のキリアン・マーフィ主演のイギリス映画『オン・エッジ 19歳のカルテ』とジェス・フランコ監督の『バージン・ゾンビ』。
 未公開ながら秀作で、唾のつけられていない新鮮さを味わえる作品が多いユニバーサル発売の『オン・エッジ』は、アップで俳優の芝居をじっくり見ることに耐えられる近年稀有な作品。きっとそれは前後のカットとの関係性が押し付けがましくない(=作り手が観客に喚起しようとする感情がどんなものなのかがあからさまでない)からだろう。この副題も自分的にはオッケーだ。作品の方向性が一見して判るし。ブリティッシュロックが全編に流れ(但し重要なシーンではちゃんと劇伴)、久しぶりにエンドロールでアーティスト名を確認したくなった作品でもある。…ロールが始まった直後にトイレに駆け込んだから見逃したけど。
 『バージン・ゾンビ』は、イヤ、そんなに酷くない。早送りすることもなかった…携帯ゲームでFF2をやりながら観たからかも知れないけど。
 この映画、予想を裏切ってちゃんと土中からゾンビが蘇るシーンがある。但しみんな白塗りの顔が綺麗過ぎ。埋まっていたとは思えぬ。というか、メイクってったってお歯黒を塗って即席すきっ歯にしただけ…。例えて言うなら『悪魔の毒々ゾンビーズ』レベル。
 そして主人公が度々見る幻想(ゾンビに追われる)の内容が毎回同じ。二回目以降省略したりカット割りが変わることもない。ので、滑って転びそうになるゾンビさんとかにどうしても目が行ってしまう。三回目くらいからはRPGで同じダンジョンを何回も攻略させられてるような気分に陥った。この作品、全編幻想シーンで不条理な描写がてんこ盛り…というかそれしかないわけだが、まあ、この監督は真面目に『アッシャー家の大虐殺』とか『クリムゾン』とか撮ってるより、こういう意味不明描写に逃げていたほうがまだ観れる。口が裂けても愛すべき作品などとはいえないが、所々印象的なカット(首を吊ったまま空中を移動するオッサンは結構インパクトあり)もある。
 すべからくスタッフ・キャストにやる気が感じられない作品は近年でも量産されつづけている。しかし本作のようにオープニングタイトルの編集と人名の出し方で既にしてそれを感じさせてくれる作品も珍しいだろう。スーパーの出方、消え方がまちまちだったり、明らかに撮影時のミスで短すぎるカットをスロー現像して尺伸ばししたのが明白なカットがあったり、暴力的なまでに適当。
 あと、本作のジャケットの裏の画は壮絶。
 ゾンビたちの股間から出た→が主人公の女の股間に集まっており、集まった先には「FRESH」の文字が。そしてゾンビの口から出た吹き出しに「Come on Baby」って書いてある…。