男ってバカよ
漠とした印象しか掴み取れない最低の台本との格闘に忙殺される中、父親を入院させるため、二日前久しぶりに帰郷。父親も何か思うところがあったのか、(いや、父親が気力を完全に喪う前に家族一同アクションを起こせたからかもしれない)今回は任意入院という最良の形をとることが出来た。
しかしその後家に舞い戻り、父親が躁状態の時節に拵えた借財を書状で確認。弟と二人で落ち込む。額としては(今現在はっきりしている分で借金が全部なら)今後父親が社会復帰し、平均的な精神状態をキープできたとして、鬼籍に入るまでに返しきれるかどうかギリギリの線である。子供自分からしばしば自分のうちの借金の額について思いを巡らす度、自分の周囲から音が遠ざかるような不安感にかられてきた。これで遂に私も、自分が抱える巨大なコンプレックス塊のうち一部と対峙することが出来たわけだ。
明日以降スタッフルームの電話を使い、各社に正確な額を質していこうと思う。
一昨日はその後、父親が世話どころじゃなくなったために一時的にホームに入った祖母を見舞った。弟と一緒に長後駅からバスに揺られ、新幹線の高架沿いに歩くと、うす灰色に寂れた壁のホームに辿りつく。バス停からの道すがら、畠の畦にフキノトウを発見するも、近くで作業中の庭師の目が気になり、採取は断念。
祖母はTVのあるレクリエーションホールで一人座っていた。
相好を崩して喜ぶ祖母を見ているのは楽しい。此の人の鼻から目へのラインは遠目にもそうと判るほど本当に自分に良く似ている。
動きの無い無機的な空気の中で、なるべく嘘のないように、うちの状況を語って聞かせる。自分個人としてはここの所別段凶事もなく、むしろ引越しや仕事を含め新たな話題には事欠かない。耳の悪い祖母に伝えるため、租借するように、ゆっくりと口の中で意識して言葉を繋げていく。
何度も「すぐ帰るからね。安心して」と語りかける祖母。顔を背ける弟。
自分たちはそれに対して「うん」と言うしか無かった。
帰り道で弟が言った。
「ばあちゃん一人で居たね。…あの性格だし、なかなか友達が出来ないのかもね」
けど自分はそれでいいと思う。
別にあの年になって、他人の和に溶け込む努力を始める祖母など見たくない。
ばあちゃんは、ホームにいても自分たちが顔を見せれば、変わることなくマイペースを崩さず、違和感や弱々しさ、寂しさを見せなかった。
そして思う。ばあちゃんは、もしかしたら、家に居てもずっと一人だったのかも知れない。
だから、あの場所でも変わらず見えたのかも。
…仕事の話になるが、4/15予定だったクランクインがずれ込むらしい。
十日前後のイン遅らしが濃厚となっているようだ。
矢張り安心する。
準備期間はあるほどいい。
あ、そうそう。今日は『PUMPKINHEAD:ASHES to ASHES』をebayで購入した。
さて…久しぶりに裏ジャケ解説をアップ。
『冒険野郎』('76英国/ロジャー・ムーア、リー・マーヴィン)より。
解説文の枠ギリギリまで肥大したどっちらけ感に染まりそう。
分裂症ですか?