地下獣絶滅

hellbeyond2007-06-13

 『トレマーズ4』を観る。
 続編であることの弊害−「観客が前作を見ている」ということを前提とした作り…が全編に渡って息苦しいまでにばら撒かれ、窒息しそうなほど。
 前作で見たキャラだからって即感情移入してくれるほど観客は単純じゃないぞ。
 時代を遡り、西部開拓時代に展開するという新味も、制作陣の見せ掛けだけの「やる気」だったようである。開拓用の重機で怪獣に対抗したり、「明日に向かって撃て!」を意識した自転車の登場など一応考えた形跡はあるが、問題はキャラ造型。
 状況設定が面白かろうが結局観客が感情移入するのは人間なのであり、彼らの感情の起伏や行動の理由が希薄なら、観客は結局他人として物語に接するしかなくなる。そしてそうした場合、この平坦なストーリーに一時間半以上付き合うにはかなりの努力を要する。
 一旦は街を捨てて汽車の駅まで来たマイケル・グロスが町からのSOS電報を受け、怪獣との決闘を決意するシーンなど上手くすればかなり盛り上がるのに、決定的な瞬間の寄りカット、そしてそう決意するための「前振り」(例えば町の人々との交流)が足りないために、本当にストーリーを転がすためだけのシーンに見えてしまう。
 あと本作は三作目まではかろうじて保っていた怪獣描写の新味も薄い。怪獣にも人間にも魅力のない作品。
 一作目からシリーズに脚本家として関わってきた人間が監督なのにも関わらずこの体たらく。どういうこと?