日本人でも楽しい映画

hellbeyond2007-08-07

 『夜を賭けて』(’03)を観る。


 大戦直後の大阪で実際起こったという、在日韓国人たちによる兵器工場廃墟からのスクラップ奪取事件を材に取った青春活劇。
 日本人が徹底した悪役として描かれながら本作がとても懐深く感じるのは、きっとその「土色」のせいだろう。人の顔、彼らが住むバラック小屋地区、淀んだ川、廃墟、そして警察署内部までもがすべて血の通った土色。それは取りも直さず我々の肌の色だ。


 ま、ラストでは人種間問題はまたしても「後続に任せた」的逃げ方をされていてチョット不快だが(そのくせ映画的気持ちよさをもってこようとして失敗している辺りも)、映画全体の評価を左右するほどのものではない。間違いなく近年屈指の青春映画の快作である。
 韓国の荒れ地に建てたという韓国人居住区のオープンセットを縦横無尽に駆け回る山本太郎の気持ち良さそうな顔!こんなに躍動感のある映画を東映系の人々が製作してくれたことは素直に嬉しい。しかし売り方はまたしても最悪。「青春は、イノチガケ」って…。