軽蔑者?

hellbeyond2007-08-14

 久々に、本当に久々にB級未公開新作を観る。
 タイトルは『デスパイザー』(’02)。


 臨死状態になると地獄に行ける主人公が現世と地獄を行き来して、悪魔と戦うお話。
 地獄には現世のモノがたまに送り込まれたりしているようで、地平線の彼方に巨大戦艦とか埋まっていて、CGで描かれたそれらは非常にチープながら「作りたい絵を作る」という作り手の気概は感じられる。CGを減らすなり上映時間を減らすなりするか、全体にCGのクオリティを下げてでもやりたいこと全部やるか。撮影直前、監督の前にはそんな選択肢があっただろう。
 結果監督は後者を選んだわけだが、それにしてもCGシーンでのカメラワークの多さ、一応見せ場だけで繋いだストーリーには歯を食いしばってなるべく妥協しないよう心がけた監督の努力が滲んでいて観ていて切なくなる。
 しかし、そのクライマックス。魔王城に遂に主人公達が忍び込む件になると、突然ストーリーは駆け足になり、ビジュアルはライブアクション中心の貧弱なものになり、張られた伏線は悉く忘却され、よく解らん方法で悪魔を倒して終わってしまう。
 これはどうしたことだろう。
 思うに、撮影直前までラスト部分の脚本が決まりきっていなかったのではないか。前日くらいに書き上げた脚本特有の逸り感や浮き足立った気持ち悪さがここにはある。
 本編鑑賞後に調べたところ監督の前作は『重機動戦線メカノイド』。
 メカノイドのほうがよっぽど楽しかった記憶があるのだが、これは対象となる「ロボ」に対する愛が、本作の「悪魔」に対するそれよりも監督の中で大きかったということだろう。
 子供の妄想を映像化したような自慰スレスレの楽しさは、PMエンターテイメントやアルバート・ピュンの諸作と同種のもの。でも本当は作り手がその位耽溺してれないとこっちは付き合えない。近年のB級にはそれがないんだよなあ。