クズどもに祝福を。

hellbeyond2008-01-21

 『動物と子供たちの詩』(71)を観る。


 クズと呼ばれ、存在価値がないと周囲の皆に断言された少年たちは、それでも「自分以外の」誰かの為に行動を起こす。これはそんな映画。遊戯射撃の的にされる運命のバッファローを開放するための道のりは、かつて西部劇映画のカウボーイ達が辿った道を真逆に辿る道だ。だからこそ彼らが収容されているサマーキャンプの看板には「Send us a boy,We send you a cowboy」と書いてある。
 アメリカが「アメリカ的」もしくは「男らしい」としてきたモノ。それに対する激しい嫌悪感がここには溢れている。本作品はその制作時期、劇中の風景から見事にニューシネマの潮流の中に飲み込まれてしまっているが、その本質は刹那的/多分に自己中心的/狭窄的な作品群とは最も遠い。この作品の主人公達が抱える苦しみはもっと普遍的なものだ。
 残念なのはそのラスト。本作品の製作は'71年だが、既にしてニューシネマが「ジャンル」として定着してしまっていることが、本作品のラストから見て取れる。そもそも前述したとおり、この作品はニューシネマではない。『少年は虹を越える』が一見ニューシネマが持つ要素を全て持っていながら、もっと普遍的(一般論的な、という意味では勿論ない)な場所に着地していたように。
 このラストは、この作品を一本の「映画」としてまとめることで、明らかに作品自体が提示したテーマを霧散させている。