チャッキーの種

hellbeyond2008-01-15

 『チャイルド・プレイ5 チャッキーの種』(04)を観る。


 前作から既に見えていたセルフパロディ路線を推し進め、『ザ・リアルナイトメア』的なメタ現実ホラーとして成立した稀有な一作。
 物語前半で現実世界に広げていった虚構世界を、映画として成立するために(ここが作品自体の売りと齟齬を生じさせてしまう)後半で収束させていかなければいけないジレンマを克服できなかったのが悔やまれる。そこをクリアできれば「異形の傑作」として、後続が同タイプの作品を作りづらい状況になっただろうに(今のままでは本シリーズの続編を初めとして、作り続けられるだろう。そして観客は食傷する)。


 あとはマリオ・バーヴァ監督の『処刑男爵』(72)を観る。
 度々思うが、バーヴァってそんな凄いだろうか?
 『血みどろの入り江』にしろ本作品にしろ、B級にしては作り込んでいる照明以外褒めるところはない。一般的に評価される撮影は凝ってはいるが、演出に寄与しているかというと疑問。『処刑男爵』に関していうと、まず主人公に魅力がなさ過ぎる。家系を探るという目的意識はセリフで説明されるだけで、後は馬鹿みたいに肝試し気分で呪文を唱えて男爵を復活(しかも女連れで。救い無し)。男爵は復活したらしたで流血気味なので医者に行く(マジで!)。しかも町医者は男爵のゾンビ的風体は意に介さない。怪我だけ治療して「もっと大きい病院へ行け」ってアドバイスした後あえなく餌食に。登場後いきなりよいよいで歩き出す殺人鬼って?バーヴァは殺人鬼を「恐ろしい存在」として描く気がないのだろうか?男爵が何故殺すのか?甦った後の目的は?などに関しても一切解説なし。というか、眠気に襲われ一時間経過後は記憶が曖昧だが・・・。
 「映画は脚本である」とはよく言われるが、それ以前に「コンセプト」すら構築できない(少なくとも後期の)バーヴァはやはり単なる撮影監督なのである。
 それに比べれば、不遇な扱いも甚だしい息子のランベルト・バーヴァはまだしも「映画監督」である。『デモンズ』『デモンズ2』の閉塞破壊アクションは頗るエキサイティングだし、『グレイブヤード』『オウガー』の怪奇風情はどうしようもなく美味しい。同じ意味での「コンセプト」つまり「何を見せたいか」がはっきりしている。


 新作系では『エイリアンシンドローム』『バグズ』など観たが、もういいよね?つまんないよ。