ルチオ・フルチの優等作

hellbeyond2005-02-06

『怒霊界エニグマ』を観る。


ま、同好の士なら名前くらい御存知だろう。ルチオ・フルチ監督作品である。時期的には『サンゲリア2』のちょい前くらいか。
しかしこれが意外にもストーリー、怪奇描写共にしっかり背骨が通った佳作オカルトなんである。例えば、無くしたイヤリングを探しに夜の美術館に忍び込んだ女学生のシーン。争いを描いた絵画が動きだし、絵画の中の人物の手が千切れる。絵画から血が流れる。彫像の蛇や大男が動きだして襲いかかる、など’90年代のフルチなら絶対出来ない(というより90年代に入ってフルチはオカルト描写に急激に興味を無くしていったようだ)きっちりした演出を求められる描写をスマートにこなしている。そのお陰で一瞬フルチ作品を観ているということを忘れそうになる。
また、フルチ作品に(それまでの人物関係を踏まえた上での)意外なラストなど期待していなかったので、全く予想のしていない人物によって決着がつけられた時に「あ、やられた」なんて久しぶりに思ってしまった。んでラストカットがまた凄く実験的なことをやっていて(実際どっかのファンタスティック映画祭で上映時どよめきが起こったらしい)、フルチ実は才能あるのか?なんて思い直しそうになっちゃった。
ま『ゴースト・キラー』とか『地獄の門2』の悪夢を忘れたわけじゃないので、評価は覆りようがないっちゃないんですけどね。