『ファミリー 再会のとき』

hellbeyond2005-05-16

を観た。
フィールド・オブ・ドリームス』の誰が良かったって、やっぱ元黒人活動家を演じたジェームス・アール・ジョーンズでしょ。彼の主演作品、もう一つのお薦め。


白人文化の根強い南部の田舎に住む初老の白人男性アール。母の死に立ち会った彼は重大な秘密を聞かされる。何と彼は黒人の召使いが父にレイプされて出来た子供だったというのだ。しかも黒人の兄がシカゴに存命だという。彼は取りつかれたように北へと旅立つが…。アメリカ映画の魅力とは、その誰にでも共感出来る「わかりやすさ」。それは彼らアメリカ人が非差別主義者である証拠などでは無く、単純にそうすることで作品を多くの人間に見てもらえることを知っているから。その無意識の「無差別」が素晴らしい作品を生み出してきたハリウッド映画の歴史の上に立った時、この人種差別をテーマとした作品がアメリカ映画である意味も少し変わってくるのではないだろうか。
登場人物たちが声を大にして(言語で)分りやすいメッセージを叫ばない分、ストーリーのそこかしこでしっかりと伝えるべきことを伝えてくる作風はとてもアメリカ的な乾き方で素敵。
ロバート・デュバルが言葉の端々に染み付いた差別主義を滲ませながら、否応なく人間としての「黒人」に触れることで心を動かされていく様が素晴らしい。黒人と白人が触れ合っているように見せかけていても、実はそこに作り手の重大な思い違いと差別主義を露見させてしまった愚作『チョコレート』とは対象的な一作です。
監督リチャード・ピアースチャールズ・グロスの音楽も最高!


久々に映画を見られました。その1本が秀作で良かった。