キングっぽくもあり

hellbeyond2005-07-28

図書館で借りてきた本『牛乳アンタッチャブル』を読み終わる。


良くない性分だと思いつつ、どうしても気になるタイトル(そしてデザインの凝った表紙)の本から手に取ってしまう。こないだも駅ビルの本屋でタイトルは忘れたが新人の本(ジャケットに『闇金ウシジマ君』のキャラがコラージュされていたので気になってしまったのだ)を手に取って、余りの低俗さに頭を抱えたばかりなのに…。
この作品も一見した所僕が因縁つけそうな要素が一杯である。人ごみを指して「ポヶモンの会場のようだ」とか「ライブ会場のようだ」とか、挙げ句は血管の浮き出たオッさんを「デヴィッド・クローネンバーグスキャナーズのようだ」とかやたらこういった比喩が多い。
これが例えば一人称で語られていれば、「あーーー薄っぺらい人物造型!」とか思う所だが、この小説の場合基本的には語り手は作者である。よってこのような表現も書き手のパーソナリティとして僕は許容出来た(あくまで僕は出来たということであって、相容れない読者も多いことだろうが)。
物語の中途で主人公たちを狙う刺客との間に大薮春彦ばりのアクションが展開するのだが、ラスト付近で阿呆な牛乳会社社長によってもう一度大薮アクションが展開される。
大真面目に「ブローニングハイパワーに銃弾を込める」とか何とか、大真面目なので更に強調されるキャラクターの阿呆ぶり。真面目に描写することで阿呆ぶりを示す、というテクニックは最近見なかったので瞠目した。
あと上記のものに加え、『裸の銃を持つ男』ネタも引用していた。ふむ。


所でこの小説も漫画化したようである。いったいこの気味の悪い小説漫画化傾向は何なのか?
悪趣味な冗談としか思えない。
『グミチョコパイン』とか、(人間の顔が人間の顔として書けるという意味だけでいえば)絵だけはまともな漫画家が貧弱な表現を駆使して書いたマンガ及びその書き手の行く末を考えると薄ら寒いものがある。