SKINNED DEEP

hellbeyond2005-09-14

バーサーカー』を観る。
イカレすぎなので『悪魔の毒々』シリーズとかイッテンバッハの映画が好きな人にお薦め=ストーリーはないに等しい。
監督は『デス・クリーチャー』などの特殊メイク(『バスケット・ケース』シリーズの、と書くといらぬ期待を招きそうなので)を担当したゲイブ・バルタロス。毎回落ち着いたクリーチャーを見せてくれる人だが、今回もメイク、美術はデザイン&作り込みともに及第点。キャスティングを見る限り自主映画レベルの予算だろうし、健闘している部類だろう。
悪魔のいけにえ』の影響をいまだに引き摺る殺人一家が主人公なのだけど、この中に皿を投げて人を殺すコビトがいて、コイツが非常にむかつくキャラとして描写されていた…。人を殺しては喜んで踊り狂い、瀕死の人間の近くで小馬鹿にしたようにステップを踏む。何というか、不自由な方に対してここまで敵意を覚えたのは初めてかもしれない。結局背中を見せてのダンス中にバイカー爺に撲殺されるのだけど(凄い画!)。


その他特筆することがあるとしたら、CGの使い方が上手いということか。
無い予算でクリーチャーをフルCGで描くなどという馬鹿なことをせず、「表現」として使いこなしていた。
例えばコビトがバックパックを背負っていて、後ろに手を伸ばすと皿(CG)が飛び出て掌に収まる。
上記の仕掛けを実際作ったとしても、どうしてもカットは割らざるを得ないだろうし、なにより「走ってきてそのままフルショットで皿を取る→投げる」なんて描写は難しいだろう。


こう書いてくると久々に満足したようだが、結局作品自体は失望作だった。
主人公の視点で描いていた物語が途中から老人バイカー集団と殺人一家の殺し合いに転じてしまうので、観客の感情移入(してた人が居たとして)もそこで途切れてしまうのだ。
あと、一家の棲む素敵な殺人ハウスの内装などに凝った分、キャラクターが薄っぺら。
同種作であれば、主人公を車椅子に設定した『マッド・ジェイク』のほうが数段スリリングでドラマチックだ。