THE GRUDGE of JAPANESE FILMMAKERS

hellbeyond2005-09-20

園組作品の参考に『THE JUON』を観る。
とはいえ御安心を。『JUON』系の作品になる訳ではございません。とある描写の参考の為に観たのである。
その描写は前半で終了なので、後半は純粋な観客になる。


取り敢えず、すっげー低予算!ま、ハリウッドだから出来る予算の押さえ方だけど…。
ていうのは多分これ問題の「家」って、外から中までオールセットでしょ。つまり、一番出演料を持っていくビル・プルマンは一度も合衆国から出ていない訳だ。
この辺りは計算高いプロデューサーの存在を感じる。それがライミさんなのか一瀬さんなのかは解らないけれど。
只、セットについて言えばミシェルゲラーが家に近付いた途端風が無くなる(=セットぽさ全開になる)のは如何なものか?洗濯物を干した際にそれがはためくなどの描写でちょっとは緩和しているものの…こういう嘘っぽさって実はホラー映画で一番観客を引かせると思うが。


この作品を勧めてくれたI先輩の言通り、前半の小田急線のくだりや今までに無く「真面目に日本を描いた」のはとても好感。「可愛い」キレイさのミシェルゲラーの起用も正解なのだろう。
そして技術面では、後付けの音響効果がとても恐怖醸成に効果を上げていた。足音が走り回る、天井裏から音が聞こえるなどの「音」のクオリティが正にハリウッドホラーのそれで、久々に恐怖音響に溜飲を下げた。
只、バス内の案内音声、スーパー内の放送などスピーカー音系がとても嘘臭かったのが気になった。あとガヤで喋ってるエキストラ声に微妙な違和感。恐怖音の出来と考えあわせると、多分これ日本人の仕事では無いな。


総論すると、観客に一定量以上の恐怖を与え続けるという意味では上質なホラーなものの、今までの『呪怨』同様クライマックスに向けて盛り上げていく技術が欠けている気が。言い換えれば全編に緊張感があるんだけど、ラストは普通すぎて拍子抜け。
要はポスターデザインと同じ画で終わりたかったのね…って、そんな迎合しなくていい!
取り敢えず、企画段階にあるらしいハリウッド映画『寄生獣清水崇監督には大反対っす。


今日もスタッフルームに動きは無し。
脚本の直しが進められている(はず)ので助監督一同自宅待機なのであるが、部屋にいると気詰まりなのでスタッフルームでプレミアをいじる。
ファイナルカットに慣れた人間には極悪な使い心地。これから個人編集に入る方はマック購入をお薦めします。ちなみに編集したのは高校生時分に撮った、恐竜の卵というアイスを友人が食する映像。
伝説の「たまごアイス」と中身は一緒なのだが、「超リアル恐竜シール」(黒バックで人形を撮っただけ)入りという優れもの。


で帰り道、いなげやで夕食を買う。
野菜コーナーでサラダを物色しつつふと横を見ると、同じように野菜を選んでいる女性。
外人さんである。二十代半ば位か。恐らく服装からしアメリカ国籍。
ちょっと気になる。表記されている野菜の名前は読めているだろうか?
道に迷って、声を掛けたおばさんに怪訝な顔をされたりしていないだろうか?
そもそも日本の食材は口に合っているのか?
そんなことが一瞬頭を駆け巡る。
意外な所で『THE JUON』の影響。
でも、これって結構大事なことであると思う。
ホラー映画を撮ってて一番嬉しい時って「観てる最中後ろ振り向いちゃったよ」とか「近所のビデオ屋に行くのが怖くなった」とか、某か観客の生活に影響を及ぼせた時であるから。
出てくるのが恐怖描写の影響でないことは問題かもしれないが、映画としての『THE JUON』の価値がその瞬間ちょっと上がったのでした。