B級 is dead

hellbeyond2005-10-18

『ムーン44』『スパイダーズ』という、どうしようもない2作品を観た。


予算は掛かっている(同種作としては掛け過ぎているくらいだ)し、演出も基本ラインは問題無し。だが、前者はそのストーリー、後者は演出の根本に観客の興を大きく削ぐ何かがある。
『ムーン44』は宇宙船同士のドッグファイトを見せ場にすべき所が、刑務所描写を長々と展開した上、『ゴースト・マーダ−』同様敵の正確な正体、その目的が全く判然としない。しかも映像的カタルシスとすべき敵機撃墜のカットが決まっていない(無い時もある!)。『スパイダーズ』は、やはり「巨大蜘蛛」が襲ってくるという時点でどこかしらコメディチックな雰囲気はなし崩し的に漂うし(同監督作『モスキート』は意識的コメディ描写がある上、早いテンポで押していたのでそれでも観れたが)、監督もそうしたジャンルの固定観客はこの程度のクオリティでギリギリ納得するだろう、という割り切った作り方が全編貫かれており、特にここという問題点は無いにも関わらず、観賞後大きなわだかまりが残る出来だった。


そう。近年のB級作品はとても「判っている」ひとびとが作っているのだ。だから特に大きな問題は無いが、観客の想像を超える(本来、それがBの面白さだったはずなのだが)ような一瞬も無いのである。


それらの一瞬は、特にそのジャンルに興味が無い監督が、自分の引出しから出して来たものだったりするからだ。