狼男モノ久々の…

hellbeyond2005-10-22

昨日今日と分けて観た作品『The BEAST WITHIN』は、非常に’80年代的な秀作だった。
フィリップ・モラ作品の中では、(未見の作品も多いが)恐らくこれが最高作なのだろう。作品中で気付いたこと、まず映画で大事なのは「何に寄るか」ということだ。「寄り」カットとはこれつまり「これを見て下さい」という演出サイドからの明確な意思表示であり、ホラー映画でも、スリルを高めるシークエンスにおいてはこの「寄り」の画が恐く無ければお話にならないのである(恐怖シーンそのものでは、むしろ引きの方が恐い場合もある。例『センチネル』)。
言い換えれば、シークエンス中の「正しい位置」でカメラが何かに寄ることが大事なのだ。これは編集マンの「どこでロングから寄りに切り替えるか」というタイミングの感覚も大きく関わってくる。また、現場で必要なカットを確実に拾うカメラマンの感覚も外せないだろう。才覚と経験のあるカメラマンが用意した必要なピースが、鋭敏な映像的センス(いや、このような見せ物的B級ホラーでは「映画的センス」といった方が正しいだろう)を持った人物に依ってあるべき場所に正確に嵌め込まれた小気味良いパズル、それが正しいB級作品の在り方だ。
勿論それは脚本というその前段階での完成度が保証された上での話だ。  ’80年代的といったのは、このように映画技術的に見て完成度が高い上、余計なこと、つまり「奇をてらう」という事をしていなかったからである。
類型的といえば類型的なラストが気になるが、『ファンタズム』よろしく暗闇に佇む因縁の屋敷にかぶるエンドクレジットは気持ち良い。