人体改造と少年と初老の殺し屋

hellbeyond2005-11-01

昨日に続いて、今日は『続・夕陽のガンマン』を衛星で放映しているようである。
昨晩友人と近所のラーメン屋に行った際に店内モニターで初代作品をやっていたのであるが、ヴァン・クリーフとキンスキーの一騎討ちのシーンになると店員も客も全員手が止まってモニターを見上げ、事が済むとまた動き出すという光景がとても微笑ましかった。
近年の大作=だらだらと見せ場を垂れ流す作品を放映したとしても、絶対こんな状況はありえないのである。
マカロニウェスタンって、人の目を集めるに足る「映画らしい映画」のひとつの到達点だと思う。
微妙に影が出すぎの室内照明も、スペインロケ(かな?)の重苦しく乾いた空気感も…。


友人から借りた業田良家の四コマ『自虐の詩』を何回も読み返して泣く。
オチがギャグにならない四コマって!


久々に今月のベストB級を更新。
タイトルは『アナトミ−2』なる暗黒ゴア・サスペンス・アクション。
アメリカ資本のドイツ映画だけどスタッフ、キャストはほぼドイツ勢。
最大の魅力は、主人公に半身不髄の弟、という揺るがない行動原理が与えられていること。
この二人の関係がクライマックスの病院内チェイスをこの上なくスリリングにしている。
チェイスで言えば、主人公が研修医と言う立場を忘れないのもいい。主人公がそれを駆使して逃げ回る様が演出を邪魔しない程度にイカすデジタル音楽(もう『マトリックス』はいらない!)ともども小気味良かった。
あと、残酷な作品のトーンと好対照を見せていたのが、ヒロインを含むフィリピン人出稼ぎ看護士たちのコミュニティーや前述の弟など、病院内という世界の中で「メインストリーム」でない人々に暖かい目が向けられていたこと。
前作のスマッシュヒットを受けてもアメリカに舞台を移すことなどしなかったスタッフに拍手である。
(実は前作未見。今度観ます)


寝る前に『ジャッカ−』を観る。
初監督にしてここまで抜け目の無いサスペンスを作り上げたエリック・レッドは天才!
「そつのないこと」と「寡黙であること」の違いを良く解ってる(勿論本作は後者)。
一般批評的には無視されている同監督の狼男物『バッド・ムーン』の意外な面白さ、ロバート・ハーモンがレッド無しで撮った『ハイウェイマン』のクソっぷりを見るだに、『ヒッチャ−』の面白さはエリック・レッドの功績だったのかも知れない。
あっ、でもキャスリン・ビグロー製作総指揮、レッド監督の『アクシデント』は駄目だったけど。
何にせよ本作は誰にでもお薦め出来る希有な一作。それ程ド派手なシーンも無いし、4:3の枠にキレイに収まった感がある。
本当はこういう作品こそ九時からの映画枠でリピートするべき。こういった忘れられがちな秀作を大事に扱ってこそ、視聴率低下に悩む映画枠復権はあり得ると思うが。


ただ、日本版ビデオに関して言うと、字幕翻訳が微妙。
細かいようだけど、ラストシーンのロイ・シャイダーのセリフの訳は「偉いな」じゃないと思う。
自分だったらどうするだろう…
「堪らんな」
かな。


本作は一応劇場公開しているので、ベストB級は更新しません(良かったね『アナトミ−2』)。