部屋の中から。
風が強い。
駅からの帰り道、側道から吹いてきた冷たい風に自転車ごと飛ばされそうになる。
春一番はいつ吹くのかな?
部屋に居ても、風がガタガタと窓サッシを鳴らしている。
ベランダの物干し(改めて思うけど、これ、名前なんて言うんだろう)がカチャカチャとこすれ合う。
電線がひゅうひゅう言う。
耳を澄ますと、遠く、駅で言うと二つくらい離れた街から、強い風の波が屋根の間を駆け抜けて向かってくるのが判る。
少し飛行機の音みたいなその予感に、窓がおびえたように震える。
遠く住宅街の中に残った武蔵野の生き残りの椎の大木の幹が少しだけ傾く音がそれに続く。
ぐっと唇を噛み締める。
鉄筋がキイキイと高い音を立てるほどの力で部屋を揺らして、風が南へと駆け抜けていった。
今日読んだ本。
おーなり由子さんの『ともだちパズル』。