ビー・ニュー・エッジ
『スキャナーズ ニュー・エッジ ザカリアス』を久し振りに再見。
最初は久しぶりに自宅作業がない夜のサケの肴にと、肩肘張らない作品を選んだつもりだったのだが、意外な程の面白さに飲みかけのワインを一本開けてしまった。
監督は流石デビッド・クローネンバーグを始め『ド−ル・ハウス』(傑作!)のマリア・リースなどの俊英と長年付き合ってきたピエール・デビッド、観客を上手く作品のペースにのせるのが上手。我が国でいえば上質な二時間ドラマといった体である。警官殺人の犯人たちが見せられる幻影に登場するアリ(?)モンスター、ゾンビなどのともすれば無駄にえげつなくなりがちなサービスも丁度いい配分で織り交ぜつつ、余計なキャラを出してストーリーを淀ませるなどという愚行もない。
優等生すぎる感もあるが、きっとその辺りが『デスマシーン』『デモンナイト』など突出したB級を享受していた中学生時分(本作品初見時)の自分をして「物足りない」と思わせたのだろう。
しかしこのサブタイトルに疑問。
新世代走査者の闘いを描くこの作品に宣伝担当者がつけたかったのは「ニュー・エイジ」では?
まあ、響きは「エッジ」のほうがいいけど。
出来事。
今日初めて停めた、駅から離れた駐輪場で、双子の子猫を見た。
自転車を押して出る自分を見て、薄闇の中から鳴く。
路上に捨てられたゴミの方へ、とぼとぼと歩いていく後ろ姿。
「ただ対象を記録するだけで他に何も出来ないのは、いつもつらいことだ」−ロバート・キャパ