フランコ・ネロなら店を大破壊

hellbeyond2006-06-27

 本日で『さすらい署長 しなの千曲川殺人事件』撮了!


 撮影終了日になんですが、問題発生しましたですよ…。
 っても撮影中ではなく、ロケ場所の病院への美術の搬入が終わって、美術さん二人と近所の居酒屋(昼は定食屋というありがちスタイル)ヘ昼食をとりに行った時のこと。
 はいってカウンターにつき、取り敢えず美術さん二人はビールを一本注文。そしてめいめいメニューを見てひとしきり思案…と程なくカウンターの中に居たおばさん(きっと夜は「ママ」って呼ばれてんだろうなあ。夫であろうおじさん=おじいさんは長年の使役に疲れて無口な料理マシーンと化していた)が一言。
 「あのさあ、こっちはね。ビールより先に料理をききたいのよ。ビールはすぐ出るけど料理はそうはいかないから」


 …


 「あのねおばちゃん。こっちは何食べるか決めて食いに来てる訳じゃないから時間ほしいんだよ」(美術さん)
 美術二人はおじさんであるが明らかにヤンキー上がり。
 おばさんとの間に瞬きしたら負けの緊迫感が漂う…がやがて三人とも注文を決め、問題はなし崩しのまま料理を待つ雰囲気になった。
 自分は仕事前にビール飲む訳にいかないので(酔いやすい体質)、お冷やを追加注文。
 おばさんは自分の目の前の蛇口からグラスに水を注ぎ、自分が金魚だったら耐えきれない量のカルキ水を運んできてくれた。
 ここまでの出来事でお腹一杯の筈が、自分らより前に店に入っていた一団のお盆にミソスープを置いていくおばさんの行動にはカルキを吹いた。
 一杯目…着地成功。
 ニ杯目…一杯目の成功に味を占めて緊急着陸気味。
 三杯目…ああほら!調子乗るから空中で半分こぼれた!
 おばさんは舌打ちとともに一言「糞ッ」と零すとハードボイルドな皺を眉間に寄せ、ひとしきり考えた末に
 …お盆にその椀を乗せた。もちろん明らかに量が違う。


 きっとその後、頼んだ海鮮丼(不安なくらい美味しかった)が運ばれてくる直前、そのドンブリが乗せられたお盆の向こう…カウンターの中の壁に見えた、僕の親指くらいの大きさの、素早い漆黒は壊れかけた自分の脳髄が見せたものだよね?
 …アッ聴こえてきた。
 トワイライト・ゾーンのテーマが。