SECRET

hellbeyond2006-08-21

 一歩すすむごとに新しく立ち現れる風景。
 そんな場所を、僕は隠し持っている。
 そこは、ずっと昔から存在するからこその確かさで、僕の意思なんかまるでお構いなしに、そこに在る。


 脆弱な街の景色を抜けないと到達できない場所に在り、だからこそ帰り道は急ぎ足になる。
 強靭に姿を変えずにいるものを求めて頭を巡らす。
 高校生の自分はその谷戸の一番奥まった池に反射する薄緑色の空を見ながら、飛行機がうなりを上げて通過する音の残響を聞いていたのだ。


 今日久しぶりに訪ねたその場所。
 そこにある変わらない強さを鞄に忍ばせ、僕は少しだけ持ち帰ってきた。