THE HOWLING OVER BASKERVILLES

hellbeyond2007-02-14

 『バスカヴィル家の犬』('59)を観る。


 新世紀以降も脈々とリメイク(というか同じ原作に材を取った作品が制作)され続けているタイトルだが、イマイチ観る気にならず、鑑賞はこの'59年版が初めて。だが、それは正解だった。これはハマープロがカッシング+リーの黄金コンビで制作した堂々たる怪奇推理劇。本作に出逢うまでこの物語に手をつけないでおいて、本当に良かった。
 この二人が登場すれば間違いなく敵役同士か思ったが、リーは祖先の犯した暴挙により呪われる領主、カッシングは彼を護って魔犬の呪いに立ち向かうシャーロック・ホームズ役である。慄くリー、それを守るカッシングって図もなかなか良い。
 しかしこの画面から飛び出さんばかりの素晴らしいセットの出来はどうか。余りにもセット撮影部分が多いため、途中から「セットとロケの違和感を意識して観る」ということをやめてしまった。これは快挙である。ハマーホラーにそう思い入れもなく、映画を作り物と意識させる要素にはかなりうるさい観客である自分をして、きちんと満足させるセットを制作するハマーの実力。これが名匠たちの仕事か、と感動しきりである。そのセットの一要素として驚くほど画面効果を上げている、沼沢地に漂う夜霧(スモークなんて呼び方は不敬だ)。叫び声のもとを捜し求め、窪地に溜まった霧を巻き上げて疾走していくホームズ。彼の走り去った後の霧が名残惜しそうな渦巻きをつくり、薄れていく…なんてため息が出るような怪奇情緒溢れるカットも。
 あと余談だが、この映画を観て、激駄作『ジェヴォーダンの獣』のどこか自信なさげな作りの端緒が判明した。あれってこのハマー版『バスカヴィル家の犬』の焼き直しじゃねえか!しかも換骨奪胎甚だしい。これでもかって「可哀想な怪物」描写をしても誰も泣かなかったあの駄作と比べても、本作の演出力の高さが評価される。
 しかし、本作のカッシングの精悍さといったら!


 メモリーウォークマンを修理に出すため、発売元のコウォンに電話してみる。どうやら無料で修理してくれることに。どのくらい時間がかかるんだろう…。
 早く返ってくるといい。これがないと録音作業が滞る。折角の休みなのに!


 体調は回復。トイレに行く回数も…不安なほど少ない。いや、整腸剤を飲んでいるとはいえ。
 経過を見て、ビデオ屋巡りを再開することにする。引っ越してからまともに回ったのは一回きりなので、川崎市内にあるレンタル屋、中古屋にはまだまだ宝が眠っているはず。本日の鑑賞作品も昨年末に閉店した登戸のレンタル屋で購入したもの。


 さて、鶏粥でもつくるかな。