直訳邦題「野次馬」。

hellbeyond2007-06-24

 「見世物」をテーマにしたホラー『ギャザリング』('01)を観る。
 どうも布陣がホラーっぽくなかったので先日観た『ゴシカ』(屑である)同様期待はしていなかったのだが、これが実に娯楽意識をしっかり持った秀作だった。
 ラストにフィジカルなアクションを持ってきたこと、心霊描写が主に開放感(真実を知った基督研究者が事故って死んだり)に重きを置いて描写されていること、更に言えば実際舞台となる町の小ささはさて置き、キリスト処刑や各種世界的大惨事を裏に絡ませるなど設定で大風呂敷を広げてくれたこと…観ていて浮かんだのは「'80年代のいいホラーってこんな感じだったよなあ」ってことだ。
 その上でホラー映画を主に好んで観る観客の宿病、「野次馬根性」を物語の芯に持ってくるという挑戦的な姿勢、そのバランス感覚は近年の確信犯的すっ惚けホラー群を観て感じていた消化不良を幾許かは解消してくれた。キリスト教の暗部と「見世物精神」をこうも違和感なく寄り添わせてくれるとは。
 細部に言及すると、地下に封じ込まれた教会のセットが近年にない「怪奇映画的/考古学好奇心的」満足度を見せてくれる。『スペクターズ 鮮血のローマ』のカタコンベと並ぶ。


 昨日、ぶらっと出掛けた下北沢の古本屋で『ネッシーの大逆襲 怒りの湖底怪獣』を発見・購入。中坊の頃から気になっていたタイトル。近年隆盛している10束一絡げ的な中古ビデオ店やツタヤでは見かけなくなって久しいのだが、矢張りこの作品は薄暗い古本屋やウナギの寝床みたいな個人ビデオ店の隅っこが似つかわしい。
 まあ、観たら失望するのは判っている。
 暫くは部屋の棚に放置して、「未知数映画」のままにしておくことにする。