ダイナミズムの鑑

hellbeyond2007-07-11

 『蝋人形の館』('05)を観る。


 何だぁこりゃ…ラストの(ドンでん返しの)パンチ力不足を除けば、近年のホラーの最高作品になっちゃうんじゃないの?
 前半(主人公達を取り巻く状況全体が××であることが判明する辺りまで)は、××であることも含め観客の予想の範囲内から全く出ず、特に同ジャンルお決まりの展開から逸脱した箇所もないので早送りボタンに手を伸ばそうかとも思った。
 しかしアレが接着される正にその瞬間から物語は一気に加速、クリフハンガーアクション系のホラー良作へと変貌を遂げたのである。
 蝋人形系ホラーという一本筋は通しつつ、兄弟(兄妹)同士の対決という横軸も忘れず配置。但しこれが本当に横軸にしかなっておらず、殺人鬼を含め主人公達の運命に特に寄与していなかったのは勿体無い。血を分けた人間同士が力を合わせるからこその戦い方、もしくは兄妹という関係を乗り越え、逸脱した部分をクライマックスに持ってくるというやり方もあったと思うが。
 とは言え、絶体絶命の状況に陥った人間の絶望感が醸し出す、鉄っぽい血の味は喉の奥に感じた。それだけでも観る価値のある作品。