空中分解映画

　駄目な映画を観る。
　タイトルは『バタフライ・エフェクト』。

　この映画を監督した根性なしコンビは何が言いたいんだろう？
　二時間観客を引っ張りまわした挙句に「全てチャラ」にする落ちを持ってくる感覚には寒気を覚える。これはハッピーエンドでもなんでもなく、作ってるうちに自分らの作品のテーマが重大すぎることに不安になった監督たちが打った「妥協案」じゃないか。
　あんな軽薄な落とし方をするなら、「児童虐待」や「田舎に引きこもるしかない人々」なんていう問題を軽々しく持ってくるべきではない。創造力の欠如も甚だしい。
　これだけ問題山積みの登場人物たちを配置しつつ、結局終幕で全員の前にあるのは「プラマイゼロ」という白けた答えだ。それなら何故この映画を作った？
　・・・細かい点だが、主人公が能力に自覚的なのかどうなのかよく解らないという前半の演出も正気を疑う。観てる途中まで「久々に先の読めない展開？」と思ったが、この主人公の行動に統一性が無いだけでした。
　夢落ち連打の『ヘルレイザー』後期シリーズと同等のイライラ感をどうぞ。