メインタンク・ちょいブロー

hellbeyond2008-04-27

 諸事情あって、一般映画観客としては絶妙にオフタイミングな一作『U-571』を観た。これを観なければいけない状況が、現在かかずらわっている作品の外しっぷりを如実に物語っている気がするがまあいい。
 名作『Uボート』(未見。こっち先観りゃ良かった)の船内考証を担当した人物の手になるというドイツ潜水艦内の構造、美術等はリアルなように見える。CG的な見栄を切らない特殊効果も、一応の戦記ものという体裁にはそぐっていただろう。
 問題は、ストーリーに関係ないところでドイツ海軍による漂流兵一斉射殺シーンをぶち込んできたこと。このシーンには前後との脈絡も前ふりも無く、単純にドイツ兵に「悪役」の判を押すためにある。大体、登場一分弱、しかも台詞も寄りサイズもない漂流兵たちの死に観客が哀れみ以外の何かを感じるとでも思っているのだろうか。方程式、それも人を小馬鹿にしたような単純で大味な方程式で観客の感情を動かそうというその姿勢。
 むかつく。