ジミーでサンティアゴでバカ

hellbeyond2008-05-22

 駄目映画について。


 自分が駄目映画ちう物の存在に気付いたのはいつ頃だったろうか?
 親父に毎週末連れて行かれた近所のビデオ屋で、毎回30分以上掛けてジャケットを吟味していた小学生時代に観た作品には、強烈な失望を味わった記憶が無い。ラストだけ強烈に印象に残り、後年観返してみたらそれ以外全部忘れてた『ゴーストインフェルノ』などはあるが・・・。ラインナップをイマになって思い返してみるに、その店は明らかに入荷する作品を選んでいた。そして詰まらない作品はすぐさま500円の投げ売りに回していたのだ。
 だから、自分が本当の失望を知るのは、中学生になってそのビデオ屋の作品をあらかた観終わり、他のビデオ屋の会員になろうと思い立ってからである。行動範囲が駅向こうまで広がったのもそのおかげといえるだろう。


 『エイリアン2』パクリすぎ映画『エイリアンネーター』に胸の黒くなるようなムカつきを覚え、ジャケットセンスと出来の乖離が甚だしい『電磁物体X』に言葉を失い、一瞬しか登場しないゾンビをジャケットに大写しにしたうえ、ロゴの字体を『ヘルレイザー2』とまんま同じにした『ヘルゲイト』に頭をかき掻った。
 明らかに、自分の映画体験におけるモラトリアムは終わろうとしていた。
 自分が目を離した隙にひっそりとリリースされていた、膨大な量の未見作品が放つ怪しい魅力。色あせた墓標のように、統制されないままで棚に詰め込まれたビデオたちを、自分は飽くことなく掘り出しては一喜一憂した。


 前置きが長くなった。
 自分の電影発掘史は日を改めるとして、今日は、ビデオ(映画のみならず)という商品に隠された魅力について語りたい。
 ビデオ(デッキ)は'80年代初頭バブル真っ只中に市販されるようになり、アダルトビデオ人気に乗って一気にリビングルームの顔になった。同時期に店頭に並べられた文化のどっちらけ感を象徴するように、'80年代ビデオのジャケットは色彩感覚、品質、惹句に至るまで本当に最低である。その酷さはこの日記でも都度毎に紹介してきた通りだ。
 ところで洋画のビデオジャケットを製作する時、絶対不可避な「人名のカタカナ表記」。今日は酷くやる気の無い社員をゴッドファーザーに持ったことで、珍人物と化してしまった悲しい有名人たちを紹介する。


シャセイ・アフレック (Casey Affleck)
(『ダウン・ザ・ドレイン』ジャケット)


 キャシーだろ。翻訳担当者は、こんな名前の人を誰かに紹介出来るのだろうか。


ブリギッテ・ニールセン (Brigitte Nielsen)
(『キング・オブ・アマゾネス』ジャケット)


 元スタローン妻。何かこれも日本語っぽい響き。ブリギッテ。


ニック・キマズ (スペル不明)
(『復讐のボーガン』)


 気まずいらしい。


ジロー・モンターニャ (Joe Montagnya)
(『殺人課』ジャケット)


 日系がハリウッド主演かと思ったらジャケットに出てた顔はジョー・モンターニャでした。


 あと凄まじくバリエーションが多いのがB級製作者、Ashok Amritraj氏。
 一番多い訳が「アショク・アムリトラジ」だが、「アショック・アムリトラ」やら「アスホーク・アムリトラジ」やら酷いもんです。本人が来邦したら、ビデオ販売会社はなんつって紹介するのか。


 これからも、珍名は紹介していくことにする。