死者の日

hellbeyond2008-06-05

 忙しい最中、新作ゾンビ映画デイ・オブ・ザ・デッド』を観る。


 これは『死霊のえじき』ではない。
 自明のことかもしれないが、これほど乖離した作品になっている以上、語る上でまずはそれを明らかにしておく必要がある。元となった作品との共通点といえば、人間=ゾンビの意思疎通の可能性を見せたこと、軍人が多く出てくること、ラストでミサイルサイロを通じて脱出することくらい。それにしたって軍人の描き方に皮肉は効いていないし、ミサイルサイロは内部描写を割愛しており(地下通路をうろうろした後にでかい煙突から出てくる主人公たちのカットに繋がる)換骨奪胎も甚だしい。
 しかし、それでも本作はかつて『バタリアン2』の不評に首を傾げつつ『デモンズ』に喝采を送った類のファンには久しぶりの清涼剤になるだろう。
 戸外に獲物を見つけたゾンビはガラス戸をぶち破って走り出てくるし、超人的跳躍力を見せるゾンビ、二階の窓ガラスを破って次々飛び降りてくるゾンビ群などのやんちゃ描写など、「楽しいゾンビ映画」を作ろうとしたその姿勢は、ひたすら陰鬱でリアル志向に走る近年のスプラッタ映画の中ではとても貴重。後半の失速から、繰り返し観たくなるほどの作品とはいえないが、一見の価値は有る。但し、観るならDVDで十分。