6フロアーズ・トゥ・ダウン

hellbeyond2009-04-22

 『ダーク・フロアーズ』(08)を観る。
 フィンランド初のホラーだというポイントには全く気がつかず鑑賞。本編を観終わるまで完全にハリウッド作品だと思ってた。・・・それこそ近年の諸国作品が陥っている泥沼なのでは。
 ドイツ『デュカネ』や本作、大予算を掛けたフランスの『ジェヴォーダンの獣』などを観ていると、作り手が意識して目指しているのは、どうやって自分の国で「ハリウッド映画」を作るかという一点のみである。
 映画(興行)界の現状を観れば分かるとおり、ハリウッド的な作りの作品はもう誰も欲していないのである。
 エレベーターの床を突き破って登場する魔獣の腕、雨粒が空中で静止した窓外の世界・・・。優等生的な作りの先にあるのは、「作り手の顔が見えない」という果てしない虚無感と、粘りの足りないクライマックス(本当にホラーが好きならクライマックスこそ盛り上げなければ)。久しぶりに特殊メイクで鋭角的なデザインの魔物を見せる「魔獣映画」であることは喜ばしいが、この作品から新たな同ジャンルのブームが始まるほどの熱気は感じられなかった。また、『コンスタンティン』と同じく、PV監督による正統派カット割りを持つ「映画」であったことは評価しよう。