また、あの駅で会おう
ブラジル映画『セントラル・ステーション』('98)を観る。
人と人との繋がりを、とても慎重に描いた作品。識字率のとても低い地域で「露天代筆屋」という職業についている老女を主人公にしたこの映画。
乱暴な言葉の飛び交うこの作品が持つ温かさの源泉はなんだろう。そう考えて気づいた。きっと私たちの住む場所は感情表現の、そしてそれを伝えるツールが多すぎる。
この映画の中に登場する伝達手段は電話と手紙、そして直接の対話のみだった。
そんなふうにして、過多なコミュニケーションに溢れた場所のつまらなさを改めて思う。
この作品の手触りをどう表現しよう。
まるで怯えた子供がそれでも繋がりを求めて、おずおずと手を差し伸べているような・・・。
画面のこちら側から手を差し伸べることだって、出来ると信じたい。