感情と勘定
現在受け持っている予告編の仕事でにっちもさっちもいかなくなり、長く連絡を取っていなかった友人に電話を入れる。そういえば前回彼に連絡を取った時も、長い無沙汰があった後であった。
前回の再会時はその無沙汰の間に行った引越しや就職&転職、その他様々な変化がお互いの距離を縮める障害になっていたと思う。そして変わらない互いの相容れなさから再度の離別が起こった。
だからこそ今日、電話帳から彼の名前を呼び出した後、また逡巡したのだった。電話を掛けることに。
しかしながら、久々の電話は思いのほか気持ちの良いものだった(懸念していた「電話番号を変えた」というような事態も無く)。いつも避けてしまう場所に「繋がった」という喜び。
今回はその離別の間に起こった巨大な変化―自分の結婚―が、良いほうに作用した。
近いうちに彼に再会するだろう。そのとき確かめたい。
自分は成長したのだろうか?間口の広い人間になったか?
制作活動に最低限必要な意思疎通能力(自分はこれがホントに低いから…)は手に入ったのか?
確かめるまでもない。まだそれらは達成されていない。されていたなら、現在仕事上自分が置かれているような事態には至っていないだろう。基準は遙か上だ。
ただ、そのことが彼と自分とを結んでくれた。
こんな時にばかり人を(いや、彼の能力を賞賛し「彼を」と言おう)頼る自分は虫がいい。
でも、なりふり構わずにそれが出来て良かった。
・・・またぞろ離別が起こらないことを。
そして願わくば、この仕事がうまく運ぶことを。