蠢く生肉
フレディ・フランシス監督の『ゾンビ襲来』を観る。
ってもゾンビ映画ではない。原題の『クリーピング・フレッシュ』が『ヘル・オヴ・ザ・リヴィング・デッド』の英語別題でもあるので混乱するなあ。
水を浴びると甦る原始人の骨。それを巡って争うカッシングとリー。
そこに絡んでくるのは、カッシング亡妻の精神病が娘に遺伝しているのではないか、という恐怖(これは比較的上手く彼の行動原理として働いている)と折しも精神病棟から脱走した患者の巻き起こす混乱。
当然ながら人喰いや篭城戦など「ゾンビ」という題から期待するあれこれはありえないので、このタイトルに観客を欺く以上の意味はないのだった。
物語が展開する中で見せてくれるロンドン下町のセットは相変わらず美しい。
また、そのラストの捻りは同時期/同監督の傑作オムニバス群を幽かに彷彿させた。